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コロナ禍における学校外教育でのICT支援フィールドワーク 

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2024/04/04(木) - 11:27

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2023/06/06(火) - 11:41

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プロジェクトX

概要の概要:

生徒のほとんどがスマホを所持していることから,教室に在室している生徒を把握するのに使えるだろうと考えて調査した。保護者からもネットで便利に在室状況を確認できることは安心につながる。在室状況をリアルタイムで把握しておくことにより,災害の発生時などに在室している生徒が把握できれば状況把握に役立つだろうという考えもあった。しかし,現在ではイマドコサーチ(2)などの保護者向けインターネットサービスがあり,教室として安心サービスを提供するメリットが保護者に強く訴求できる状況ではないため,部分的な実装実験にとどめることにした。

 

概要:

内閣府の資料(1), p. 5,によると,令和3年の時点で,インターネットをスマホで利用しているのは小学生で約39%,中学生約73%,高校生では約98%という調査結果になっている。小学生の所有率はさらに高まるであろう。スマホにはほぼ例外なく,無線接続のためのWifi機能とBluetooth機能が搭載されている。これらの機能を使って生徒の在室状況のリアルタイム(常時)な把握が可能であると考えられる。これについて基礎的な技術的検討をした。

 

基礎技術の検討:

1.Wifi技術とBluetooth技術の確認

Wifiによる機器の存在確認,Bluetoothによる存在確認の2つについて技術的可能性を検討する。なお,ここでのモデルは,LinuxあるいはWindows10が動作しているPCを施設内に1台設置してこのPCから近接距離(WifiあるいはBLE(Bluetooth low energyで通信できる距離で,これはほとんどの場合,1教室内と考えてよい)に存在するスマホ端末を検索するというものである(図1)。

図1


 

(1)Wifi機能による存在確認

LinuxあるいはWindows10上で,PCから,pingコマンドによってスマホの存在を確認できる。PC同士であれば,OSが立ち上がっていればほぼ確実に存在が確認できる。教室内ルータのDHCP設定からIPアドレス範囲を調査し,そのアドレス範囲すべてでpingをして応答を確認すればよい。しかし,スマホの場合はWifi通信が途絶えたあと待機状態(画面が消える)になると応答しなくなる(Androidで確認した。iOSは不明。以下同様である)。したがってスマホのWifi機能では本稿の目的(常時存在確認)を満たせない。

(2)Bluetoothによる存在確認

BluetoothはWifiと重なる周波数帯(2.4GHz)を使って通信する。変調方式が異なるので通信の上位層では混信がないように見えるが,物理層(電波)では混信の可能性がある。最近ではWifiが主に5GHz帯を使うので,物理層の混信をあまり心配する必要がなくなった。スマホの、主にオーディオ機器接続での普及、また、照明やテレビの家電機器への浸透が見られる。このようなことから、当分の間利用可能な無線インターフェイスであると考えられる。

(2)-1 bluetoothctlコマンド

Linuxのbluetoothctlコマンドはbluetooth機能をプログラマに使いやすいように工夫されたコマンドの集合である。周囲のBluetooth機器を調査するscanコマンドが本稿の目的に使える。実機で確認した結果としては,電波の強度が非常に低い機器も検索に現れるために、得られるBluetooth機器のリストが煩雑になり,現在ではテレビなどの家電機器もBluetooth機能を搭載しているものが多いので,対象外の機器も多数現れる。デフォルトではいったんリストアップされた機器はしばらくリストに現れないなど,使い勝手が悪い。リストに現れる機器のフィルタをコマンドのオプションによって適切に設定すれば本稿の目的にかなった機器検索結果リストが得られるのかもしれないが,コマンドオプションについて十分な情報が得られずに応用を断念した。

(2)-2 l2ping

BluetoothでWifiのpingに相当するコマンドがl2pingである。Linuxに実装されている。l2pingはスマホのBluetooth機能が動作していれば(Bletoothのアイコンが表示されている状態),スリープ時(画面表示がない状態)においてもスマホが応答する。ただし,BluetoothのアドレスはWifiのようにルータがDHCP機能で割り振るようなことがないので,あらかじめスマホ上で確認し,PC側でこのアドレスでl2pingする必要がある。

次に,l2pingを動作させるためのプログラムについて少々考察する。

 

2.応用可能なソフトウェアの検討

前項での検討より,l2pingを使ったソフトウェア開発の見通しについて検討した。

l2pingを実行するにはlinux環境が必要である。linuxをインストールしたPCか,Raspberry PI等の組み込み型でlinuxが動作するハードウェアが必要である。次項ではLine noticeを使うことが書かれている。これは,Line noticeがAPIを公開しているために応用が可能であることと,暗号化への対応がされていて通信の安全が保てること,そして,保護者が普段使っているLineアプリで対応してもらえることから検討に入れたものである。

原稿執筆時点では,Windows上で動作するlinx環境であるWSL2上で動作可能かもしれないが,これは確認していない。

 

3.まとめ

前項までで詳しく説明していない点もあるが,検討結果から現状で目的を達成しようとした場合に実現可能な技術的組み合わせを述べると以下のようになる。繰り返しとなる項もあるが,まとめとしての意味を考えて目的から書いている。

 

  1. やりたいこと 
    1. 学習塾に入室(物理的に部屋に入る)したことを検出してメールで保護者に伝える
    2. 学習塾から退室(物理的に部屋から出る)したことを検出してメールで保護者に伝える
    3. Bluetoothで実装した場合,教室内でも電波が到達しない,あるいは教室近くの道路を通過しただけで検出する場合も考えられるが,これらが問題ないレベルであれば,よしとする。
  2. 実装 レベル1 最上位レベルの実装のイメージ
    1. 生徒のスマホのBluetoothのMACアドレス(例: E0:AA:96:17:78:9B)を知る。
    2. プログラムのライン上か,ファイルに上記MACアドレスと名前等(保護者のラインID)を記述する。
    3. 保護者のラインIDに対して招待通知(?)を送り,承認してもらう。
    4. プログラムを走らせると,生徒の入退出で保護者にライン通知(Line Notice)が届く。
    5. インターネットブラウザで,現在の在室者を表示する。閲覧パスワードや番号などでの匿名化が必要かもしれない。
    6. 生徒の退室時には上記のMACアドレス等を削除する。
  3. 実装 レベル2 2段階目の実装のイメージ
    1. 実装は,ラズパイ4(Laspberry Pi 4)基板をケースに実装して使う。電源アダプタも必要になる。
    2. ラズパイ4にはRaspberry Pi OS(Linux)をインストールする。
    3. Line Noticeの実装
    4. ネットサーバーの実装
  4. 実装 最下層の実装(プログラミング)のイメージ

シェルスクリプトを記述する。cronコマンドで一定時間ごとにl2pingを使ってスマホをスキャンし,応答したスマホのアドレスを記録する。これをクラウドサービス(さくらインターネットなど)にscpでアップし,クラウド上のシェルスクリプトでLine noticeに結果を送信する。クラウドの仮想マシン上でこれに対応するシェルスクリプト(上記の実装レベル1)を走らせて,Line noticeに送信する。また,html送信できる生徒リストを作成する。

 

以上,生徒の存在管理の技術的可能性についてまとめた。現状では保護者からの大きな需要を持つとは考えられないが,受験生の自習室活用時間や,災害時の緊急連絡時の基礎データとして,また,教室内の防犯

 

参考文献:

(1)内閣府:「令和3年度 ⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査調査結果(速報)」,令和4年2⽉, https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r03/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf

(2)NTTドコモ,「イマドコサーチ」,https://www.docomo.ne.jp/service/imadoco/ 

 

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